【コラム】長生きの星、カノープスを見よう!
【コラム】長生きの星、カノープスを見よう!
全天で最も明るい恒星、おおいぬ座のシリウスが南中する20分ほど前に、シリウスに次いで2番目に明るい恒星、りゅうこつ座のカノープスが、南の地平線わずか3°の地平線スレスレのところに顔を出す。
この地平線や水平線スレスレに見えるこの星には、日本各地でも昔から気がついていた。代表的な呼び名は、『めらぼし』、これは房総半島南端にある布良(めら)港の名を取ったものだ。『めらぼし』は、嵐のために海で死んだ漁師の魂が海上に現れて、仲間の漁師を呼んでいるという、不気味な言い伝えが残っている。これは海が荒れる2月の宵に姿を見せることから創造されたのだろう。そのほか、少ししか姿を見せないことから、中国四国地方では『横着星』、その他の地方でも『不精星』『道楽星』などと呼ばれ、なまけものの代表格になっている。他に海のしぶきがざぶざぶかかるように見えることから『ざぶざぶ星』という呼び名を与えている地方もある。
所変わってかつて中国の都であった洛陽や西安では、地平線スレスレのところにほんの短い時間しか見えないカノープスを南極老人星と呼んで、この星が南の地平線上に明るく見えたときは、迎える年は天下泰平・国家安泰のしるしだと慶ばれたという。また、この星が赤く見えることから、七福神の一人で酒好きでいつも赤ら顔をした寿老人に見立てていたため、この星を拝むことができたら、長生きができると尊ばれた。
このカノープスが、東海地方ではちょうど大晦日の新年を迎える23時40分ごろに南中する。このおめでたい星を、除夜の鐘を聞きながら拝むことができたら、きっと迎える年は平和で健康な1年になるだろう。
もし、大晦日の夜に見なかったとしても大丈夫。2月中旬なら午後9時ごろ、下旬なら午後8時ごろが見ごろとなる。南の空が地平線まで見渡せるところで眺めてみよう。