はじめに
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博物館入口に、巨大パネルがお出迎え! -
博物館の階段にも千田先生!?
2024年4月の開館から2周年を迎えた豊田市博物館。この春、満を持してスタートしたのが、城郭考古学の第一人者としてテレビ番組でも活躍する千田嘉博教授監修の「教えて、千田先生!とよたの城も天下の城も」です。豊田市内に点在する数多くの城が、いかに日本の歴史と密接に関わっていたのか、そのダイナミズムを、最新の研究成果を踏まえて千田先生が語る魅力とともに紐解く内容になっています。今回は、企画展開催前日の内覧会で明らかになった見どころを解説します。
1.博物館で城の扉が開く~内覧会と千田先生の想い~
開催前日に行われた内覧会。会場には関係者だけでなく、地域の方々の姿も多く見られ、この企画展に対する期待の高さがうかがえました。市長、来賓によるご挨拶ののち、監修を務められた千田先生から、本展にかける熱い思いと展示のポイントが語られました。
千田先生は、お城の展示には「越えられない弱点」があると言います。それは、古文書や絵図はあっても、「城そのものは野外にある巨大な構築物であるため、博物館の中に持ってくることはできない」ということです。それでは本当のお城の姿を伝えることができない――。そこで今回展示の構成にあたり導入されたのが、「赤色立体地図」という最新技術です。地形の微細な凹凸をデータで取り込み、さらにそれを触ることのできる立体模型として再現。まさに21世紀の技術革新が、城の姿を博物館の中へ連れてくることを可能にしました。
千田先生は、この展示の意義についてこう言及されました。「これまでの博物館展示は視覚情報が主で、実物資料に触ることは難しかった。しかし、この立体模型があれば、これまで博物館から一番遠かった視覚的な弱者の方々にとっても、豊田の城の魅力的で個性的な構造を体感してもらえる」。千田先生の言葉からは、城に向ける深い愛と、誰もが歴史を楽しめるユニバーサルな展示への想いが伝わってきました。
2.展示内容ハイライト~ここが豊田流~
開会式後は、椿木流松平法螺貝隊によるオープニングアクトとともにテープカットが行われ、いよいよ会場内へ。豊田市生まれの千田先生の紹介や、城の基礎知識を経て、展示の本丸である「とよたの城」紹介へと進みます。
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法螺貝の演奏も圧巻でした! -
豊田の城がまるわかりの資料が並びます!
(1)城のリアリティを体感する
豊田市には、165もの城が残されています。展示室では、市内の代表的な城について、「現在の姿」、「赤色立体地図」、そして地図を元に作成された「触れる模型」が並びます。一見すると捉えにくい複雑な曲輪や堀の構造が、模型を通じて指先や目からダイレクトに伝わってきます。当時の人々が険しい山をいかにして要塞としたのか。そうした執念や知略を、まさに肌で感じることができるのが、この企画展の魅力だと思います。
(2)松平氏・徳川氏のお城の変遷も辿る
豊田の城は、決して中央の歴史と無関係ではありません。この企画展が興味深いのは、天下人・徳川家康へと繋がる松平氏や徳川氏の歩みと、地元の城を並べて紹介している点にあります。松平郷の小領主から始まった松平氏が、江戸幕府を開くまでにどのような城を拠点とし、その構造をどう変化させていったのか。千田先生の鋭い視点による解説は、教科書で知る歴史にさらに厚みを増してくれます。
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大手門鯱(挙母城)
3.展示を観たら、次は現地へ
学びをさらに深めるための貴重な機会もあります。
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現地へ出かけてみませんか?
講演会「地図から考える豊田の近世城下町」
近世の豊田市には、複数の城や陣屋が建てられ、その周りに城下町が形成されていました。その中でも現在の市の中心部にある挙母城(桜城・七州城)と寺部陣屋(寺部城)の城下町について、地図や資料からその特徴についてお話しいただきます。(講師:山村亜希さん(京都大学教授))
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執筆者振り返り~博物館は「最高の指南書」~
この企画展は、単に知識を得る場所である以上に、実際のフィールドへ繰り出すための「最高の指南書」だと感じています。博物館で「城の読み解き方」を学び、模型でその構造を覚えたあとは、ぜひ市内の城へ足を運んでみてください。展示で観た図面や触れた模型の感触が、実際の城の風景と重なったとき、その歴史は本当の意味で自分の血肉となります。
博物館を入り口として、豊田市内に多数存在する歴史のフィールドを訪ねる。これこそが、五感で味わう豊田の歴史の魅力を最大化してくれると思います。千田先生の監修によるエンターテインメントとしての歴史の熱量を、ぜひ会場で体感してください。
WRITERこの記事を書いた人
山田 拓実
愛知県生まれ。歴史が好きな30歳。豊田については、まだまだ勉強中。
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