<足助>夜風と酒と、たんころりん。 ~たんころりん制作の裏側を訪ねて
掲載日:2018年7月13日(金)
足助の夏の風物詩といえば、宮町から田町の街道沿いで行われる『たんころりんの夕涼み』。
「たんころりん」(=竹で編んだ円筒形の行灯)の優しい灯りが、古い街並にぽつりぽつりと続き、家の軒先ではミュージシャンの演奏が響く、風情あるまちの催しです。
そんなイベントを1か月半後に控えた、とある日の17時半。私たちは、たんころりんの会会長・河合康男さんの家の倉庫に向かいました。もちろん、たんころりんを作らせていただくためです!
ここがたんころりんの作業場。とてもくつろいだ雰囲気の中、たんころりん作りがはじまりました。
細く切った竹を「六目編み」で立体にしていくのですが、真剣にやっているのに、ちょっと目を離したり、会話をしたりすると「あれっ!?」。「ほらぁ、ここが抜けてるよ~」と、いつの間にか増えていたメンバーさんからダメだし。途中でできなくなっても、丁寧に教えてもらったり、時にはからかわれたり。この日が初めての参加でしたが、そこには、ずっと前から知り合いだったかのような、穏やかな空気がありました。これぞ足助、古き良き田舎の姿がそのまま残っています。
たんころりんは16年前、気の合う仲間が集まって10個の行灯を作り、それらを並べて一杯やっていたのが始まりだとか。
「作るのも一から。みんなで夜な夜な飲みながら、試行錯誤してね、竹の器に油を入れて失敗し、湯飲みを器にしたら熱くて持てず断念して…結局、ひょうそく(油壺)を使うことで落ち着いたんだけど」。
そう、「たんころりん」のネーミングは、この「ひょうそく」がひょうたんの形に似ていることから「ひょうたんころりん」→「たんころ」→「たんころりん」となったそう。「りん」はもちろん三河弁ですね!
そうやって仲間うちで楽しんでいたところ、それを見た近所の人たちから「いいね」「面白いね」と評判となり、みんなで作るように。今や足助の街に700個も飾られる大イベントとなりました。
「絶対のルールがひとつだけあって。それは“自分の家のものは自分で作ること”。これだけの規模になると“作って”という人もいるけれど、それはダメ。自分の家に自分で飾ることが重要なんです」と河合さん。
たんころりんのようなイベントは他県など他の地域で行なわれることもあるそうですが、地域に根付くほどのイベントにならないことも多いそうです。なぜか?「結局、飾る人たちの愛着ですよ。お仕着せのイベントでは、うまくいくはずがない。たんころりんは、地元の人が飾るのを楽しみにしているイベントだから続くんです」。
ええ、ええ、わかります。1個作るのに3時間(ベテランは30分)、初心者の私が不器用ながらもひとつのものを作ってみて、楽しい思い出とともに、これまでは見るだけだった、たんころりんへの愛着がぐーんと湧きましたから。
たんころりん、見ているだけじゃもったいない!
5月~イベント前まで続けられる制作作業、もしよかったら、ぜひ参加してみてはいかがですか。